ブラックリスト状態になると基本的には、金融機関からの融資はかなり厳しくなります。またクレジットカードも強制解約させられるなど、さまざまな弊害がでてしまいます。
今回はブラック状態の定義や資金調達の方法について解説していきます。
ブラックリスト状態でも資金調達は可能?
ブラックリスト状態とは、金融機関やクレジットカード会社などの信用情報機関において、過去の支払い遅延や未払いなどが記録されている状態を指します。多くの企業や個人がブラックリストに載ることで、融資を受けることが難しくなります。
しかしブラックリスト状態であっても、資金調達が全く不可能というわけではありません。状況や資金調達方法に応じて、いくつかの方法で資金を確保できる可能性があります。
業績によって500万円前後なら融資の可能性はある
ブラックリストに載っている場合でも業績が良好である企業や個人事業主には、融資の可能性が残されています。融資を受けるためには信用情報だけでなく、事業の安定性や業績・将来性などが重視されます。
特に過去の支払い遅延があった場合でもその後の業績が好調であり、十分な収益を上げている企業や個人事業主は、融資を受けやすくなります。
例えば売上が安定しており、今後も成長が見込まれる場合、銀行や金融機関が貸し出しを検討することがあります。
300〜500万円程度の融資であれば、過去に信用情報に問題があったとしても、事業の健全性や収益力を重視して融資を行う可能性はあります。
しかし融資を受けるには、過去の延滞や未払いの問題をクリアにしておくことが重要です。具体的には支払い遅延が解消された履歴や、業績が証明できる資料を提出する必要があります。
投資家からの資金調達なら問題ない
ブラックリストに載っていても投資家から資金調達を行う場合、融資とは異なり比較的問題なく資金を調達できることがあります。
投資家からの資金調達は事業の成長性や将来性を重視するため、過去の信用情報よりも、事業計画や市場の潜在性が重視されます。
特にベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などの投資家は、事業の成長ポテンシャルを見込んで資金を提供することが多いため、過去のブラックリスト状態を問題視しないことがよくあります。
逆に将来性が高いと判断される場合、過去の信用情報はあまり重要ではなく、融資を受けるよりも投資家からの資金調達が有利に進む場合もあります。
さらに投資家からの資金調達の場合は融資とは異なり、返済義務がないため、企業にとっては非常に有利な資金調達手段となることがあります。事業内容や成長性に魅力がある場合は、投資家からの資金調達が有力な選択肢となるでしょう。
審査対象が個人の場合は難しい
一方で資金調達の審査対象が個人の場合、ブラックリスト状態での融資は難しくなることがあります。特に個人向けの融資やクレジットカードの申し込みの場合、過去の信用情報が重要な判断基準となります。
個人の信用情報がブラックリストに載っていると、金融機関やクレジットカード会社はその個人に対して融資を行うことを避ける傾向があります。
個人の信用情報は銀行融資だけでなく、車のローンや住宅ローン、クレジットカードの申請にも影響を与えます。
ブラックリストに載っている場合、通常の金融機関からの融資は非常に難しくなりますが、それでも個人向けの資金調達手段としては、消費者金融やノンバンク、あるいはファクタリングなどが選択肢として考えられることがあります。
ただし消費者金融やノンバンクなどの高金利の貸し手は、ブラックリストに載っている人にも融資を行う場合があるものの、利息が高くなるため、返済負担が大きくなりがちです。
そのため借り入れをする前にそのリスクを十分に理解し、返済計画を立てることが非常に重要です。
ブラックリスト状態でも使える資金調達方法7選
ブラックリストに載ることで、一般的な融資を受けることが難しくなる場合がありますが、ブラックリスト状態でも利用できる資金調達手段はいくつか存在します。
事業運営を続けるためや新たな事業を展開するために、資金調達は欠かせません。ブラックリスト状態でも使える資金調達方法を7つ紹介し、それぞれの特徴を詳しく解説します。
金融機関からの事業資金
金融機関は信用情報を厳格にチェックするため、ブラックリストに載っている場合は融資が受けにくいことが多いです。しかし事業資金の場合、信用情報以外の要素が重視されることがあります。
例えば事業計画書や今後の売上見込み、過去の業績など、事業自体の実績や将来性が評価されることがあります。
ブラックリストに載っている場合でも業績が良好であり、将来的に十分な収益を見込むことができる場合、金融機関が融資を行う可能性があります。
特に中小企業やベンチャー企業のための融資プログラムを利用することで、事業資金を調達することができることがあります。
ただし信用情報に問題がある場合は、金利が高くなる可能性があるため、事業計画をしっかりと作成して審査に臨むことが重要です。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫(JFC)は、政府が支援する金融機関であり、特に中小企業や個人事業主への融資を行っています。日本政策金融公庫では、ブラックリスト状態でも融資を受けることができる場合があります。
政府が後ろ盾となっているため、金融機関の審査が厳しくても、比較的融資を受けやすいことが特徴です。
特に事業資金や設備投資、運転資金などに関する融資が多く提供されており、ブラックリストに載っていても、事業が成長している場合や今後のビジネスの可能性があると認められる場合には、融資を受けられることがあります。
日本政策金融公庫では金利が低いことや、返済条件が柔軟である点も大きな利点です。事業計画書や事業内容をしっかりと説明することで、融資を受けられる可能性が高まります。
補助金や助成金
補助金や助成金は特に事業の成長を支援するために提供される資金です。これらは融資とは異なり返済が不要な資金調達方法であり、ブラックリストに載っている場合でも利用できる可能性があります。
政府や地方自治体が提供する補助金や助成金には、特定の条件を満たす事業者に支給されるものがあります。
例えば地域振興や技術開発、環境対策に関連する事業であれば、補助金や助成金の対象となる場合があります。申請には審査がありますが、返済不要であるため、非常に魅力的な資金調達方法です。
ブラックリストに載っていても事業の内容や目的が補助金の条件に合致していれば、資金調達を行うことができるため、積極的に活用することを検討しましょう。
ファクタリング
ファクタリングは、売掛金を早期に現金化することで資金調達を行う方法です。ファクタリングの最大の特徴は、融資とは異なり、信用情報をほとんど考慮せずに資金を調達できる点です。
売掛金が担保となるため、ファクタリング会社が回収リスクを負うことになります。
ファクタリングは企業の信用や過去の履歴に依存せずに利用できるため、ブラックリスト状態でも利用できるケースが多いです。
特に売掛金の回収が見込める大手企業や安定した取引先がいる場合には、スムーズに資金調達が可能です。
ファクタリングは手数料が発生しますが、審査が簡単で迅速に現金化できるため、急な資金需要に対応する際に非常に有効な手段です。
請求書カード払いサービス
請求書カード払いサービスは、売掛金を現金化するのではなく、請求書をカード払いで決済することで資金調達を行う方法です。
請求書カード払いは近年登場したサービスで3%程度の手数料がかかりますが、最大で60日間の支払い延長が可能です。
請求書カード払いサービスは、短期的なキャッシュフローを改善するために利用され、手続きも比較的簡単です。支払い期日を迎える前に現金を手に入れられるため、急な支払いが必要な場合にも対応できます。
クラウドファンディング
クラウドファンディングはインターネットを通じて不特定多数の個人から資金を集める方法です。これにより、事業計画を公開して支援を募ることができ、ブラックリスト状態でも問題なく資金調達が可能です。
特に社会的な意義のある事業や新しいアイデアを持つベンチャー企業にとっては、クラウドファンディングが有効な資金調達手段となります。
クラウドファンディングでは資金提供者から支援を募る際に、返済義務がない場合が多いため、ブラックリスト状態でも融資を受けることができない企業にとって魅力的な選択肢です。
またクラウドファンディングは、事業が公に広く認知されるきっかけにもなるため、資金調達だけでなく、事業の認知度向上にもつながります。
エクイティファイナンス
エクイティファイナンスは、企業が株式を発行して投資家から資金を調達する方法です。この方法では、資金提供者が企業の株式を購入することにより、資金を調達します。
エクイティファイナンスはブラックリスト状態の企業でも資金調達が可能な方法です。なぜなら融資ではなく株式の引き受けなので、融資審査に通らない場合でも、投資家が企業の成長性に賭けて投資を行うことがあります。
この方法では返済義務はありませんが、資金提供者には企業の一部の所有権が与えられるため、企業の経営に影響を与えることになります。返済の負担を避けるために資本調達を行いたい企業にとっては、有力な選択肢となります。
ブラックリスト状態の定義や消えるまでの機関
ブラックリスト状態とは金融機関やクレジットカード会社などの信用情報機関において、過去の支払い遅延や未払いが記録されている状況を指します。
これが原因で融資やクレジットカードの審査が通らなくなることがあります。ブラックリストに載ると、信用度が低く評価され、資金調達が非常に難しくなるため注意が必要です。
3つの信用情報機関がある
日本には信用情報を管理している3つの主要な機関があります。これらは個人の信用情報を収集・保管し、金融機関やクレジットカード会社などに提供する役割を担っています。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
主にクレジットカードや消費者金融、ローンの履歴を管理しています。クレジットカードやローンの契約履歴、支払い履歴などがここに記録されます。 - 株式会社ジャパン・クレジット・ビューロ(JCB)
信用取引に関する情報を提供する機関です。こちらもクレジットカードの利用履歴を中心にデータを管理しています。 - 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
銀行を中心に金融機関が情報を提供し、ローンや借入れの履歴を管理しています。
これらの機関に記録された情報は、金融機関が新たなローンやクレジットカードを発行する際に審査の基準として利用されます。
支払い遅延や未払いが記録されると、審査において不利な評価を受け、融資やクレジットカードの発行が難しくなります。
クレカや携帯電話の支払い遅延・未払いはブラックリスト掲載
ブラックリストに載る原因としてはクレジットカードや携帯電話の支払い遅延、未払いが挙げられます。クレジットカードの利用履歴や携帯電話の分割払いの支払い状況は、信用情報機関に報告されます。
特に支払いが30日以上遅れると、その情報は信用情報機関に登録され、ブラックリスト状態になります。
例えばクレジットカードの利用料金を長期間にわたって支払わなかった場合や、携帯電話の分割料金を未払いにした場合、これらの情報が信用情報機関に報告され、ブラックリストに載ることになります。
これにより今後クレジットカードの新規発行やローンの審査で不利な評価を受けることになります。
ブラック履歴は1〜10年で掲載削除となる
ブラックリストに載ると、信用情報機関にその情報が一定期間保存されます。ブラックリストに掲載された履歴が消えるまでの期間は、支払い遅延の内容や状況により異なりますが、一般的には1〜10年程度です。
- 1〜5年の期間
軽微な遅延や短期間の未払いについては、比較的早く履歴が削除されることがあります。たとえば、1回の支払い遅延が6ヶ月以内であった場合、5年程度で削除されることがあります。 - 10年の期間
より深刻な支払い遅延や未払いがあった場合、最大で10年間、信用情報にその履歴が残ることがあります。例えば、長期間の支払い未払いがあった場合や、債務整理(自己破産や任意整理)を行った場合、その履歴は10年間記録されます。
ブラックリストに載った場合でも、時間が経過すれば履歴は削除され、再び融資を受けやすくなることがあります。
ただし支払い遅延や未払いの履歴が長期間残っていると、新たな借入れやクレジットカードの取得が難しくなる可能性が高いため、早期に支払いを完了し、信用情報を改善することが重要です。
ブラックリスト状態の弊害
ブラックリスト状態にあるということは、過去に支払い遅延や未払いがあり、信用情報機関にその情報が記録されている状態です。
この状態が続くとさまざまな事業活動に悪影響を与えます。特に、クレジットカードの利用や新たな借入れに関して、非常に不利な状況が生まれます。
クレジットカード発行ができなくなる
ブラックリストに載っていると、クレジットカードの新規発行ができなくなる場合がほとんどです。クレジットカード会社は申請者の信用情報を審査し、支払い履歴や過去の信用状況を確認します。
もし支払い遅延や未払いが記録されていれば、その信用度は低く評価され、新たなクレジットカードを発行することが難しくなります。
具体的には過去にクレジットカードの支払いを長期間滞納した履歴や、債務整理を行った履歴が残っている場合、その情報が信用情報機関に登録されます。
このような情報があるとカード会社はリスクを避けるためにカードの発行を拒否することになります。
したがってブラックリスト状態で新しいクレジットカードを作ることは非常に難しく、キャッシュレスでの支払いに依存している場合には、生活に大きな不便を感じることになります。
クレジットカードが強制解約になる
ブラックリストに載っていると、新規カード発行が難しいだけでなく、現在持っているクレジットカードが強制解約されるリスクもあります。
これはカード会社が定期的に顧客の信用情報を更新し、支払い状況に問題がある場合に、カードの利用停止や強制解約を行うためです。
特にクレジットカードの支払いが遅れたり、長期間滞納が続くと、カード会社からの警告や最終的な強制解約が行われることがあります。
カードが解約されると信用情報に更なる悪影響となり、今後のクレジットカード利用やその他の融資がますます難しくなります。
新規借入が難しくなる
ブラックリストに載っていると新規借入れが難しくなります。融資を受ける際、金融機関や消費者金融、カードローン会社などは、必ず申請者の信用情報をチェックします。
この信用情報に過去の遅延や未払いが記録されていると、信用度が低く評価され、融資の審査が通らなくなります。
特に住宅ローンや車のローン、教育ローンなどの大きな借入れは、ブラックリスト状態では非常に難しくなります。
またクレジットカードやキャッシングの限度額も低く設定されることが多く、金利も高くなりがちです。結果として資金調達に困難をきたし、急な資金需要に対応できなくなる可能性があります。
ブラックリストに載っていることで、融資を受ける際の金利が高く設定されることがあり、最終的には経済的な負担が大きくなることもあります。
金融機関はリスクを避けるため、ブラックリスト状態の顧客には低利の融資を提供しないため、高い金利を支払うことになります。