ファクタリングの中には保証型ファクタリングといって、保証料を支払うことで売掛債権が回収不能になった際に、ファクタリング会社から保証料で補填されるものがあります。
似たような仕組みで取引信用保険がありますが、両者は利用する目的や活用シーンが異なります。
今回は違いが分かりづらい両者について、それぞれの特徴や保証範囲の違い・メリットやデメリットを解説していきます。
ファクタリングと取引信用保険の違い
買取型ファクタリングと取引信用保険の違い
買取型ファクタリングは、売掛金をファクタリング会社に売却することで資金を調達する方法です。売掛金を早期に現金化できるため、キャッシュフローの改善が即座に期待できます。
この仕組みでは売掛先が倒産しても、原則として利用企業がリスクを負う必要はありません。ただし売掛金の一部が「掛け目」として差し引かれる場合があり、手数料が発生する点が特徴です。
一方で取引信用保険は、売掛金の未回収リスクをカバーする保険です。売掛先が倒産や支払い不能に陥った場合、保険金が支払われます。
ただし保険金の支払いは申請から一定の期間を要し、即座に資金が手に入るわけではありません。また、保険加入には一定の条件や審査があり、利用できる売掛先が限定される場合があります。
これらの違いから買取型ファクタリングは短期的な資金調達、取引信用保険は長期的なリスクヘッジという異なる目的で使い分けられます。
保証型ファクタリングは保険に近く補填される
保証型ファクタリングは、取引信用保険と類似した側面を持つ資金調達方法です。この形式では売掛先が支払い不能に陥った場合でも、ファクタリング会社が売掛金を補填してくれます。
取引信用保険と異なるのは、保証型ファクタリングが保険ではなく金融サービスであり、補填が迅速に行われる点です。そのためキャッシュフローに影響を与えにくいというメリットがあります。
ただし保証型ファクタリングには利用に保証料（手数料）が発生し、保険と比較してコストが高くなる場合があります。
また売掛先の信用力や契約条件に基づき利用できる範囲が限定されることもあります。このため、どちらを選ぶかは利用目的や企業の財務状況に応じて慎重に判断する必要があります。
保証型ファクタリング・取引信用保険は目的で選ぶのが良い
資金調達や未回収リスクの軽減を目的として、保証型ファクタリングや取引信用保険、そして買取型ファクタリングなどの選択肢があります。
それぞれのサービスには異なる特長があるため、利用目的に応じて適切なものを選ぶことが重要です。
保証型ファクタリングがおすすめのケース
保証型ファクタリングは売掛先が倒産や支払い不能に陥った場合でも、そのリスクを保証してもらえる仕組みです。このサービスは特に売掛先との取引を継続しつつ、リスク回避を優先したい企業に向いています。
例えば長期間の取引が予定されている場合や売掛先の経営状況が不安定な場合でも、保証型ファクタリングを利用すれば未回収リスクを大幅に軽減できます。
また保証型ファクタリングを活用することで、自社のキャッシュフローを安定させるだけでなく、取引先との信頼関係を維持することも可能です。
取引信用保険がおすすめのケース
取引信用保険は売掛債権の未回収リスクに備えるための保険商品です。売掛金が支払われなかった場合、保険会社から補償を受けられる点が特徴です。
取引信用保険は多数の取引先と広範囲で取引を行う企業や、輸出入取引など異国間の商取引を行う企業に適しています。
また新規取引先との契約が増加している状況でも、取引信用保険を利用すれば未回収リスクを最小限に抑えることができます。さらに契約の柔軟性が高いため、規模や業界を問わず幅広い企業が活用できる点も魅力です。
買取型ファクタリングがおすすめのケース
買取型ファクタリングは売掛債権を売却することで即座に資金調達を行う仕組みです。このタイプは売掛金の回収に時間がかかる場合や、短期間で資金を必要とする場合に非常に有効です。
特に突発的な資金ニーズに対応する際や、売掛先の信用力が十分で、手数料を抑えつつ資金化を目指したい場合に適しています。
また買取型ファクタリングを利用することで、売掛金回収の負担を軽減し、本業に集中できる環境を整えることが可能です。
それぞれのサービスは目的や状況に応じて適した利用方法が異なります。未回収リスクの軽減・キャッシュフローの安定化・即時資金調達といった企業の課題に応じて、最適な選択肢を見極めることが成功の鍵となります。
保証型ファクタリングとは？特徴・メリット・デメリット
保証型ファクタリングは売掛債権の未回収リスクを保証する仕組みを提供するサービスです。このタイプのファクタリングでは、売掛債権の譲渡ではなく、ファクタリング会社が保証を引き受ける形になります。
そのため、利用企業は売掛金が未回収になった場合でも保証を受けられるため、安心して取引を進められる点が大きな特徴です。
特徴
保証型ファクタリングの最大の特徴は売掛先が倒産したり、支払い不能になった場合でも、保証範囲内でカバーされる点です。
この仕組みによって、売掛債権を回収できなかった場合の損失リスクを軽減することが可能です。さらに取引先との関係性を損なうことなく未回収リスクに備えられるため、特に長期的な取引を維持したい企業にとって有益です。
また買取型ファクタリングとは異なり売掛債権自体を譲渡しないため、債権譲渡通知や債権譲渡登記が不要になる場合が多い点も特徴的です。
メリット
保証型ファクタリングのメリットとしては、まず未回収リスクを効果的に軽減できることが挙げられます。売掛先の信用状態に不安がある場合でも、保証を受けることで安心して取引を継続できます。
また売掛債権を手元に残したまま保証を得られるため、取引先との関係を良好に保ちながらリスクヘッジを図ることができます。
このような仕組みは経営の安定化に寄与し、特に新規取引や海外取引の際に大きな力を発揮します。さらに資金調達を主な目的としないため、売掛債権の取引条件や信用力に応じた柔軟な対応が可能です。
デメリット
一方で保証型ファクタリングにはデメリットも存在します。最大のデメリットはサービスの利用に対して保証料が発生する点です。
保証料の水準は売掛債権のリスクに応じて変動するため、リスクの高い債権の場合にはコストが増大する可能性があります。
また保証型ファクタリングは売掛債権の未回収リスクに特化したサービスであるため、資金調達が主目的の場合には不向きです。
保証を受けるためには、一定の審査が必要となり、取引先や債権の内容によっては保証を受けられない場合もあります。
保証型ファクタリングは未回収リスクに対する優れたリスクヘッジ手段である一方、保証料や利用条件によってはコストがかさむ場合があるため、利用企業は事前にその仕組みを十分に理解し、適切に活用することが重要です。
取引信用保険とは？特徴・メリット・デメリット
取引信用保険は企業が取引先との信用取引で発生する未回収リスクを保険によってカバーする仕組みです。この保険を活用することで、取引先の倒産や支払い不能による損失を軽減し、安定した経営基盤を築くことが可能です。
取引信用保険は、国内取引や輸出取引の双方に適用でき、多様な取引形態に対応している点が特徴です。
特徴
取引信用保険の特徴は、未回収リスクを包括的に補償する点にあります。企業は、複数の取引先をまとめて保険対象とすることができ、個別のリスクに対しても柔軟に対応できます。
また取引金額や業種・取引地域に応じたカスタマイズが可能で、特定のリスクに重点を置いた補償設計ができます。
加えて保険契約の対象には倒産だけでなく、取引先が支払いを遅延した場合の補償が含まれることもあります。取引信用保険は、保険契約の範囲内でリスクを管理する仕組みであり、企業の財務リスクを効果的に軽減します。
メリット
取引信用保険の最大のメリットは未回収リスクを補償することで、経営の安定性を向上させる点です。
特に取引先が多岐にわたる場合や、リスクの高い地域や業界との取引を行う場合に有効です。保険を通じて、損失リスクを事前に分散させることが可能となり、予期せぬ倒産や支払い遅延による経営危機を回避できます。
また取引信用保険を活用することで、企業は取引条件を柔軟に設定できるため、新規取引や海外取引の拡大にもつながります。
さらに取引信用保険を契約していることが取引先への信頼感を高める要素となり、商談の円滑化を図ることもできます。
デメリット
一方で取引信用保険にはいくつかのデメリットも存在します。まず、保険料がコストとして発生するため、経費の増加につながる点です。
保険料は取引のリスクレベルに応じて変動し、高リスクな取引では保険料が割高になる場合があります。また、保険の適用には契約条件があり、全ての取引先や状況が補償対象となるわけではありません。
特に小規模な取引や新規取引の場合、審査基準を満たさないケースがあるため注意が必要です。さらに保険金の請求には一定の手続きが必要であり、支払いまでに時間がかかる場合があります。
取引信用保険は未回収リスクを管理しつつ事業の安定性を高める有効な手段ですが、コストや適用条件を十分に理解した上で利用することが重要です。適切に活用することで、経営リスクの軽減と事業拡大を両立することが可能です。
買取型ファクタリングとは？特徴・メリット・デメリット
買取型ファクタリングは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、現金化する資金調達方法です。
売掛債権を担保に融資を受けるのではなく、売却によって資金を得る仕組みであるため負債として計上されず、企業の貸借対照表に影響を与えません。
特に中小企業や資金繰りが厳しい状況にある企業にとって、有効な資金調達手段の一つとなります。
特徴
買取型ファクタリングは、売掛債権の売却を通じて資金を調達する点が特徴です。売掛先（取引先）の信用力を重視するため、売却を行う企業自身の信用力や財務状態は問われにくい点が大きな特徴です。
2社間ファクタリング（申込企業とファクタリング会社）と3社間ファクタリング（売掛先を含む）という2つの契約形態があり、選択する契約形態によって手数料やスピードが異なります。
また、売掛債権の譲渡を公的に記録する債権譲渡登記が行われる場合もあり、これによってリスク管理が強化されます。
メリット
買取型ファクタリングの最大のメリットは、資金調達が迅速に行える点です。売掛債権を現金化するため、最短即日での入金が可能な場合もあり、急な資金需要に対応できます。
また売掛債権の売却により、貸借対照表に負債を計上せずに資金を調達できるため、経営指標への影響を抑えることが可能です。
さらに売掛債権が売却されるため、売掛先の倒産リスクや未回収リスクをファクタリング会社が引き受けます。これにより、企業はリスクを軽減しつつキャッシュフローを安定させることができます。
デメリット
一方で買取型ファクタリングにはいくつかのデメリットも存在します。主なデメリットとして、手数料が発生する点が挙げられます。
一般的にファクタリングの手数料は銀行融資に比べて高く、売掛債権の買取金額が減少する可能性があります。また売掛先に通知が行われる3社間ファクタリングでは、取引先に資金繰りの問題を認識されるリスクがあります。
さらに売掛債権の信用力が低い場合、買取を拒否される可能性があり、すべての債権が対象になるわけではありません。
買取型ファクタリングは、資金繰りやリスク管理において大きなメリットを提供する一方で、手数料や契約形態に伴う課題も存在します。
