補助金や助成金を受け取るには数ヶ月など長い時間がかかりますが、ファクタリングを活用すれば早期受取が可能になります。
ファクタリングは近年新しい資金調達方法として注目されていますが、補助金や助成金に着目したサービスも存在します。
補助金などは早く受け取りたいのが経営者の本音でしょう。今回はファクタリングと補助金をかけ合わせたサービスの特徴やメリットについて紹介していきます。
補助金・助成金を早期現金化するファクタリングとは？2つの種類
交付通知書（交付債権）を元にしたファクタリング
補助金早期受取サービㇲは、補助金や助成金の「交付通知書」を基に資金調達を行うファクタリングです。
企業が国や自治体から補助金の交付決定を受けた場合に、その交付予定額に基づきファクタリング会社が現金を先払いする仕組みで、補助金の入金までの資金繰りを改善できます。
交付通知書を担保として活用するため、売掛債権がない企業や事業開始直後でも利用できる点が特徴です。
補助金を電子記録債権化し担保にするPOファイナンス
電子記録債権を活用したファクタリングでは、補助金や助成金を電子記録債権として登録し、それを担保に資金を調達します。
これをPO（Purchase Order）ファイナンスと呼び、発注書や契約書と連動して資金調達が可能になります。この仕組みは、補助金だけでなく、特定のプロジェクトや契約による売上見込みに対しても柔軟に対応できる点が魅力です。
電子記録債権は信用力が高いため、低手数料での資金調達が可能になるケースもあります。
補助金対応POファクタリングの流れ・仕組み
補助金・助成金の交付決定
補助金対応POファクタリングは、まず企業が国や自治体から補助金や助成金の交付決定を受けることから始まります。
この段階では補助金の金額や交付時期が通知されるため、企業は資金調達計画を立てることが可能になります。
しかし補助金が実際に入金されるまでには数カ月を要する場合が多く、その間の資金繰りが課題となるケースが少なくありません。
交付債権を電子記録債権化
交付決定を受けた補助金や助成金は、電子記録債権化されます。電子記録債権とは債権を電子データとして管理し、譲渡や担保設定が容易になる仕組みです。
これにより交付予定の補助金を担保としてファクタリング会社に譲渡し、資金を調達することが可能になります。
電子記録債権を活用することで、債権譲渡手続きがスムーズに進み、審査や契約が迅速に行われる点が大きなメリットです。
売却代金の支払い
交付債権を電子記録債権としてファクタリング会社に売却すると、売却代金が企業に支払われます。この代金は補助金や助成金の交付金額から手数料や掛け目を差し引いた金額となります。
手続きが完了してから数日以内に企業の指定口座に入金されるため、スピーディーな資金調達が可能です。
この仕組みにより企業は補助金交付を待つことなく資金を確保し、運転資金や事業拡大に活用できます。
補助金・助成金の入金
補助金や助成金の交付が決定すると、国や自治体からの支払いが電子記録債権を通じてファクタリング会社に直接送金されます。
これにより補助金の流れが企業側からファクタリング会社に移行し、資金調達のプロセスが完了します。
この仕組みは、補助金交付時の資金流れを効率化し、企業にとって財務管理を簡略化する効果もあります。
ファクタリング会社へ入金・返還
補助金や助成金が国や自治体から交付されると、その資金は事前の契約に基づきファクタリング会社へ直接入金されます。
この入金により企業が受け取った売却代金との差額（掛け目分）が精算されます。例えば補助金の交付金額が1,000万円で、掛け目が10％（100万円）の場合、補助金の入金後にファクタリング会社がその差額分を受け取る形になります。
このプロセスにより、ファクタリング会社は債権のリスクを回収し、企業側も資金繰りを安定させた状態で補助金を活用できるようになります。
重要なのはこの返還プロセスが契約で明確に規定されており、双方の信頼関係に基づいて行われる点です。補助金の早期受取サービスは企業が補助金を迅速に資金化しつつ、ファクタリング会社もリスク管理を行えるように設計されています。
補助金早期受取サービス・ファクタリングのメリット
補助金・助成金入金までの期間を短縮できる
補助金や助成金は交付決定から実際に企業の口座へ入金されるまでに、数か月かかる場合があります。
この期間は資金繰りに影響を及ぼす可能性がありますが、補助金早期受取サービス・ファクタリングを利用することで、この待ち時間を大幅に短縮できます。
補助金の交付決定後に交付債権をファクタリング会社に売却することで、最短数日で現金を手にすることが可能になります。
審査時間が短く最短10日で早期に現金化が可能
補助金早期受取サービス・ファクタリングは、一般的な金融機関の融資と比べて審査のスピードが速い点も大きなメリットです。
通常の融資では書類提出から審査結果が出るまで数週間から数か月かかることもありますが、補助金早期受取サービス・ファクタリングでは審査が迅速に行われ、最短で10日以内に資金を調達することができます。
このスピード感は特に資金繰りが厳しい中小企業やスタートアップにとって大きな魅力です。
また補助金の交付決定という公的な信頼性が担保されているため、ファクタリング会社も迅速かつ柔軟に対応できる仕組みとなっています。
決算書や資金繰り表の提出は不要
補助金早期受取サービス・ファクタリングでは、一般的な融資のように詳細な決算書や資金繰り表の提出が求められないため、手続きが非常に簡単です。
補助金や助成金は国や自治体からの交付決定があるため、交付債権自体が高い信頼性を持っています。そのためファクタリング会社は売掛先ではなく、交付債権を審査対象とするため、複雑な財務資料の提出を必要としません。
この簡便さは、特に書類準備に時間を割けない中小企業やスタートアップにとって大きな利点です。
電子記録債権のため悪徳業者が少なく信頼性が高い
補助金早期受取サービス・ファクタリングでは、交付債権が電子記録債権として取り扱われるため、取引の透明性が確保されています。
電子記録債権は「でんさいネット」を通じて記録され、公的に管理されているため、不正やトラブルのリスクが低くなります。
契約内容の明確化や手続きの簡略化が実現され、悪徳業者やヤミ金業者が入り込む余地が少ない点が特徴です。信頼性の高い取引環境が整っており、安心して利用することができます。
補助金や助成金申請から相談に乗ってくれる会社もある
補助金早期受取サービス・ファクタリングを提供する会社の中には、補助金や助成金の申請手続きからサポートしてくれる企業もあります。
補助金や助成金の申請は、書類の準備や提出期限の管理など、手間と時間を要する作業が多く含まれるため、経験が少ない事業者にとっては負担となることがあります。
このような状況を解消するために、申請書の作成支援や必要書類のアドバイス、提出スケジュールの管理など、総合的なサポートを提供する会社が増えています。
資金繰りに悩む企業は補助金の早期入金を見据えながら、安心して申請手続きを進めることが可能になります。
またこうしたサポートを提供する会社は、ファクタリング手続きのプロフェッショナルであるため、申請から資金調達までの流れがスムーズに進む点も大きな魅力です。
補助金早期受取サービス・ファクタリングのデメリット
対応しているファクタリング会社が少ない
補助金早期受取サービス・ファクタリングは、まだ市場に広く普及していないサービスであるため、対応しているファクタリング会社が少ないという現状があります。
そのため利用を希望しても適切なサービスを提供する会社を見つけるまでに時間がかかることがあります。
また限られた選択肢の中から信頼性が高く、適切な条件で契約を進められる会社を見極めることも重要です。
対応可能な会社が少ないことで競争が少なく、手数料や条件が割高になる場合もあるため、慎重な検討が必要です。
通常のファクタリングより時間がかかる
補助金早期受取サービス・ファクタリングは、通常の売掛債権ファクタリングに比べて資金化までに時間がかかることがあります。
これは補助金や助成金の交付手続きに関する確認や、電子記録債権の設定手続きが必要なためです。
補助金交付決定後に電子記録債権化を行う場合、行政機関や関連する手続きの進行状況に左右されることもあります。
そのため資金調達を急いでいる場合には、この時間的な制約がデメリットとなる可能性があります。ファクタリング会社との事前のスケジュール確認が重要です。
補助金早期受取サービス・ファクタリング4選
三菱UFJファクター 補助金早期受取サービス
三菱UFJファクターが提供する補助金早期受取サービスは、補助金や助成金の入金までの期間を短縮するために活用されます。
このサービスでは交付決定通知をもとにした早期資金調達が可能です。特に信頼性の高い大手金融機関のグループ会社であるため、安心して利用できます。
また電子記録債権を活用することで契約の透明性を確保し、悪徳業者によるトラブルを避けられる点もメリットです。事前に詳細な見積もりを受けることができるため、コスト面でも安心です。
日税ファクタリング 補助金・助成金ファクタリング
日税ファクタリングが提供する補助金・助成金ファクタリングは、主に中小企業や個人事業主を対象としたサービスです。このサービスでは、補助金の交付決定通知書を基にファクタリングを行い、資金化を迅速に進められるのが特徴です。
特に税理士と連携している点が強みで、補助金申請の段階からサポートを受けられる場合があります。
手数料も透明性があり、信頼できるサービスを提供しているため、補助金を確実に早期現金化したい企業に適しています。
Tranzax 補助金対応POファイナンス
Tranzaxが提供する補助金対応POファイナンスは、補助金・助成金を電子記録債権化して資金調達を行うサービスです。
補助金の交付決定後、迅速に資金化する仕組みで、資金繰りを効率的に改善できます。
大手企業から中小企業まで幅広く利用でき、オンラインで手続きが完結するため、手間がかかりません。また、資金化までのスピードが早く、柔軟なサポート体制も特徴です。
Zeroファク
公的資金とファクタリングを組み合わせたサービスで、助成金受給をサポートしながら、ファクタリング手数料を安くすることができます。
通常発生する社労士への月額顧問料は無料となり、ファクタリング利用時の手数料も最大で10%優遇されるため、中小企業の中長期での資金基盤を支援してくれます。
