フリーランスとして独立・開業するにあたって事業用口座の開設を検討している方もいるのではないでしょうか。しかし銀行によっては振込手数料が高い・屋号の設置ができないといったケースもあり、どこで開設するか悩むポイントです。
筆者も日本政策金融公庫からの融資が決定しどこで口座を開設するか迷いましたが、個人的なおすすめとしては即日開設ができるネット銀行+信用金庫が良いと考えています。
筆者の場合はGMOあおぞらネット銀行+近くの信用金庫で口座開設を行い、公庫の着金・経費支払い用口座としてネット銀行を利用し、信用金庫では売上入金用口座として使い分けをしています。
メガバンクを選ばなかった理由としては追加融資を行う際のハードルが高いため、創業初期の融資候補としては難しいためです。追加融資を検討する場合は、信用金庫でのお付き合いになる可能性が高いため、信用金庫を選びました。
今回はフリーランスの事業用口座開設におすすめのネット銀行・信用金庫・都市銀行について、振込手数料や屋号の有無・ビジネスカードの有無について比較しながら紹介していきます。
フリーランスがプライベート口座と分けて事業用口座を開設する5つのメリット
次は筆者の体験も交えながらフリーランスの方が、事業用口座を開設するメリットについて紹介していきます。
- 会計管理・帳簿作成時間が短縮できる
- 資金繰り・財務状況の把握がしやすい
- 税務調査に対応しやすくなる
- 確定申告などで税理士に相談しやすい
- クラウド会計ソフトとの連携がしやすい
参考:フリーランスが事業用口座を作るメリットとは?作成するときの流れもあわせて紹介|Midworks
(1)会計管理・帳簿作成時間が短縮できる
フリーランスが事業用口座を開設する1つ目のメリットは、会計処理や帳簿作成の時間を短縮できる点です。確定申告では事業で得た収入や経費を申告しますが、口座を分けていないと確定申告時に明細を1件ずつ確認する手間が発生します。
大量の明細がある中で事業用・プライベート用の内容を精査するのは、多くの時間と労力がかかるため、あらかじめ分けておくのがおすすめです。事業用口座を開設しておけば確定申告時の作業も少なくなり、間違いやミスもなくすことができます。
(2)資金繰り・財務状況の把握がしやすい
フリーランスが事業用口座を開設する2つ目のメリットは、資金繰り・財務状況の把握が簡単になる点です。事業用とプライベート用の口座を一緒にしていると、事業経費にいくら利用したのか?売上はいくらなのか?といった部分がわからなくなります。
しかし事業用口座を開設すると事業に関するお金の流れを把握することができ、収入や支出がどの程度なのかといったキャッシュフローが一目でわかります。会計ソフトと連携して利用することが多いため、分けておくことで事業計画もイメージがしやすいです。
また追加融資が必要になった際にも経費や売上がどの程度なのかをすぐに提出できるため、基本的に事業用口座とプライベート口座は分けることを推奨します。
(3)税務調査に対応しやすくなる
フリーランスが事業用口座を開設する3つ目のメリットは、税務調査に対応しやすい点です。スムーズに確定申告を進める場合は、事業用・プライベート口座を分けるのがおすすめで、フリーランスの場合は条件を満たすと青色申告申告特別控除が受けれます。
最大で65万円の控除が受けられるため、フリーランスとして活動するには大きなメリットです。しかし青色申告の対象は貸借対照表を税務署に提出することが条件です。
プライベート・事業用口座が分かれてない場合は、事業と関係ない支出や入金が勘定科目に入るため、確定申告時に多くの手間がかかります。1年分の明細を1つ1つを自分で仕分けするのは、かなりの手間と時間がかかるので、分けるのがおすすめです。
(4)確定申告などで税理士に相談しやすい
フリーランスが事業用口座を開設する4つ目のメリットは、確定申告や税理士に相談しやすくなる点です。事業用口座を開設していれば、口座で動きがあるものは事業に関連した支出や売上のみとなります。
上述でも触れましたが確定申告を税理士に依頼するとなった時に、プライベート用・事業用口座を分けてないとかなりの手間がかかるため、税理士費用が高くなる可能性があります。また分けておけば事業に関する相談をする時も、税理士側もすぐ状況把握できます。
また事業用口座をわけて作成しておけば帳簿作成の手間がかからないので、税理士費用の節約にもつながります。事業成長を見据えると税務面は避けて通れません。税理士と連携しやすくする観点でも、事業用口座の開設がおすすめです。
因みに筆者はMFクラウド確定申告を利用していますが、簿記・会計知識が全くない方がfreee会計を利用するのはおすすめできません。
freee会計のメリットは会計知識がない方でも直感的に操作できる点ですが、簿記・会計知識が全くない人が利用すると税理士目線では仕上がりが全く異なる結果になり、修正するのが大変になる事例が多いと聞くためです。
(5)クラウド会計ソフトとの連携で次事業状況を把握
フリーランスが事業用口座を開設する5つ目のメリットは、MFクラウド確定申告やfreee会計といったクラウド会計ソフトとの連携がしやすい点です。
クラウド会計ソフトの場合は入出金履歴が自動的に会計ソフトと連携できるようになっており、キャッシュフローや経営状況を把握するのにおすすめです。確定申告を行う際にも青色申告控除で最大65万円の控除が受けられるので、帳簿管理は必須といえます。
※年間20万円を来ない場合は確定申告の必要はないですが、20万円を超える場合の副業や収入が発生する場合は、会計ソフト導入がおすすめです。
プライベート口座と分けていれば、事業経費・売上がグラフで簡単に可視化されて事業状況も確認できるため、まだ導入してない方は、無料トライアルもあるため利用するようにしましょう。
フリーランスの事業用口座は屋号付きがおすすめ!必要書類を解説
銀行によっては屋号付き口座を開設できない場合もありますが、基本的には屋号付き口座の方が取引先や顧客の信用度を高める観点でおすすめです。
取引先からの信用度が高まる
フリーランスが屋号付き口座を開設する1つ目のメリットは、取引先からの信用度が高くなる点です。顔見知りの場合には個人口座で問題ないですが、事業を開始するとさまざまな取引先や顧客と仕事を進めることになります。
入金指定の口座が個人名になっていると不安に感じる人も少なからずいるでしょう。屋号付きの事業用口座を開設してれば、相手に安心してもらうことができるでしょう。
ただし屋号付き口座を開設する場合は開業届を提出する必要があるため、まだ開業届を提出してない方は所轄の税務署で提出を行いましょう。開業届は税務署で書類を記入し捺印してもらうだけで、簡単に取得できます。
しかし税務署窓口で書類の記入すると順番待ち時間が長くなるので、先に無料ツールで開業届を作成しておくのがおすすめです。マネーフォワード クラウド開業届であれば、無料利用ができ必要項目を記入するだけで数分で開業届を作成できます。
筆者もこのツールを利用しましたが、作成したPDFファイルをコンビニで印刷して税務署に提出するだけで、簡単に開業届を取得できました。
屋号入りなら顧客に不安を持たれにくい
フリーランスが屋号付き口座を開設する2つ目のメリットは、屋号入りの口座があれば顧客に不安を抱かせずに済むという点です。
仮にネットショップなどで不特定多数の顧客を相手にしていた際に、代金の振込先が個人名の場合だと少し怪しいと感じることもあるかもしれません。屋号や店舗名が入っていればこうした不安を感じさせることなく、相手も安心して振込ができます。
屋号付き口座開設に必要な書類は2点のみ
フリーランスが事業用口座開設を行う際に必要な書類としては、下記の通りです。
- ネット銀行
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 開業届書類
- 信用金庫
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 開業届書類
- 印鑑
ネット銀行は審査申込の混み具合にもよりますが、Web上で申し込みをすれば最短即日で口座開設ができます。筆者の場合も即日で審査結果が通知され、当日中に開設ができました。
また信用金庫の場合は営業エリア内の支店窓口にいけば、こちらも即日で口座開設ができます。店舗の混み具合によりますが、1時間程度あれば口座開設は可能です。
またこの際に融資担当者と名刺交換を行い、関係構築を行なっておくのもおすすめです。次の章で解説しますが日本政策金融公庫の次の融資として検討する場合は、メガバンクではなく信用金庫が候補になるためです。
融資担当者に必要書類や審査条件などを聞いておくのがおすすめです。
フリーランスの事業用口座開設はネット銀行+信用金庫がおすすめ・メリットを解説
冒頭でも記載しましたが筆者はネット銀行+信用金庫で口座開設を行なっていますが、経費支払い用・融資着金用としてネット銀行を利用し、信用金庫は売上入金用に分けて管理しています。2つの口座開設がおすすめの理由をまとめていきます。
ネット銀行は即日開設・日本政策金融公庫の口座振替にも対応・ネットバンキングが無料
まずネット銀行は最短即日でフリーランスでも口座開設が可能です。必要書類としては下記の2点で、Web上で審査・口座開設が完了します。
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 開業届
ほとんどのネット銀行では上記2点があれば、最短即日でフリーランスの事業用口座開設が可能です。また信用金庫や都市銀行ではインターネットバンキングが月額1,000〜3,000円発生しますが、ネット銀行は無料で利用できるのもメリットです。
加えて創業初期の融資としては日本政策金融公庫からの借入になるかと思いますが、ネット銀行でも公庫の口座振替に対応しています。
GMOあおぞらネット銀行では初めて公庫の振替口座に対応した銀行で、MFクラウド確定申告やマネーフォワードビジネスカードとの連携もよく、利用した金額はリアルタイムで会計ソフトに反映されます。
マネーフォワードビジネスカードはGMOあおぞらネット銀行がチャージ先です。そのためGMOの口座を持って入ればチャージも即時反映のため経費管理・ビジネスカードを持つ予定がある場合におすすめです。
信用金庫は必要書類も少なく即日で口座開設が可能
2つ目の事業用口座としておすすめなのが近くの信用金庫です。信用金庫の必要書類は本人確認書類・開業届・印鑑だけで、こちらも即日で口座開設が可能です。
ただしデメリットとしてはネットバンキングに月額1,000円ほどかかるので、経費支払いの口座としては初期にはおすすめできません。そのため筆者は経費支払いはネット銀行・売上入金は信用金庫という使い分けを行なっています。
※信用金庫では現在、インターネットバンキングは利用していません。
ただし追加で信用金庫からの融資を検討している場合は、日本政策金融公庫からの着金はネット銀行にしましょう。仮に追加融資が必要になった時に、口座残高があるのに融資が必要なの?といった話になってしまいます。
信用金庫は追加融資のハードルが低く、500万円の預金から担当者がつきやすい
日本政策金融公庫の創業融資の次を見据えると信用金庫の力を借りることになるでしょう。都市銀行(メガバンク)はフリーランスや個人事業主では融資審査ハードルが高いためおすすめできません。
また日本政策金融公庫から追加融資を受ける場合は、返済が1/2・最低でも1/3は完了している必要があります。7年返済をしていると2〜3年は追加融資ができないということになります。
そのため事業資金が必要な場合は信用金庫で追加の借入がおすすめで、メガバンクよりも融資審査ハードルが低く、信用保証協会付き融資であれば数百万円〜数千万円の融資・借入ができます。
加えて信用金庫は地域密着型の非営利企業であるため、500万円の預金があれば担当者がつき1,000万円以上ならお得意様扱いを受けれることもあります。メガバンクは数千万円以上といった融資がメインのため、大手銀行では考えられません。
担当者がつくと資金繰りや税務・融資・事業計書相談など、さまざまな観点でアドバイスや相談をすることができます。
フリーランスの事業用口座開設おすすめネット銀行比較4選
まずはフリーランスの事業用口座開設におすすめのネット銀行について紹介していきます。ネット銀行はWeb上で審査が完結し、最短即日で口座開設できるのでおすすめです。
銀行名 | ネットバンキング | 振込手数料 | 屋号 | ビジネスカード | Pay-easy |
GMOあおぞらネット銀行 | 0円 ※無料 | 145円 | 氏名のみ 屋号+氏名 | 有り | 対応 |
住信SBIネット銀行 | 0円 ※無料 | 145円 | 不可 | 有り | 非対応 |
PayPay銀行 | 0円 ※無料 | 160円 | 屋号+氏名 | 有り | 対応 |
楽天銀行 | 0円 ※無料 | 150円 | 氏名のみ 屋号+氏名 | 有り | 非対応 |
GMOあおぞらネット銀行 最短即日で事業用口座開設/振込手数料20回無料/Pay-easy対応
GMOあおぞらネット銀行はフリーランス用の口座開設のスピードが平均1.5日と最短即日で作ることができ、他行宛の振込手数料も3ヶ月は20回無料となるお得なネット銀行です。筆者も口座開設を行いましたが午前中に申し込みが完了すれば、即日で審査通知がきます。
またインターネットバンキングの月額料金も無料で利用ができ、24時間365日いつでも振込が可能です。他行宛の振込手数料も145円と非常に安く、Pay-easy(ペイジー)にも対応しているので社会保険料や税金の支払いも可能です。
またネット銀行では初めて日本政策金融公庫の口座振替に対応した銀行のため、公庫からの着金用口座としても利用ができます。
マネーフォワード製品を利用している方にはおすすめで、マネーフォワードビジネスカードはGMOあおぞらネット銀行がチャージ先です。そのためGMOの口座を持って入ればチャージも即時反映のため経費管理・ビジネスカードを持つ予定がある場合におすすめです。
ネットバンキング | 振込手数料 | Pay-easy | 開設スピード |
月額0円 ※無料 | 145円 | 対応 | 最短即日 |
住信SBIネット銀行 最短即日で口座開設/翌日から利用可能/デビットカード付き
住信SBIネット銀行は免許証のみで審査申込が可能なため、最短即日でフリーランスの口座開設が可能なネット銀行です。振込手数料が145円と非常に安いのが魅力で、スマホアプリで法人口座の管理・振込も簡単できます。
インターネットバンキングの料金は無料でWindowsだけでなく、Mac PCでも対応しています。フリーランス用の口座として利用はできますが、屋号をつけることはできないため注意が必要です。
審査書類も少なく手間がかからないため、スピーディーにフリーランス用の口座開設を行いたい方にはおすすめです。
ネットバンキング | 振込手数料 | Pay-easy | 開設スピード |
月額0円 ※無料 | 145円 | 非対応 口座振替/即時決済は対応 | 最短即日 |
PayPay銀行
PayPay銀行はWeb上からの申し込みで完結するネット銀行です。フリーランス用の口座開設の場合は3〜10日ほどの時間がかかると記載がありますが、筆者の場合は即日で口座開設をすることができました。
Pay-easy(ペイジー)にも対応しており、税金などもこの口座から支払いが可能です。また日本政策金融公庫の口座振替先に指定もできるため、創業初期の方にもおすすめです。
ネットバンキング | 振込手数料 | Pay-easy | 開設スピード |
月額0円 ※無料 | 160円 | 対応 | 3〜10日 |
楽天銀行
楽天銀行はネット銀行の中では珍しく海外送金にも対応した法人口開設が可能です。こちらもビジネスデビットカードが付帯しており、利用金額の1%がキャッシュバックされるためお得に利用したい方におすすめです。
ネットバンキング | 振込手数料 | Pay-easy | 開設スピード |
月額0円 ※無料 | 3万円以下:150円 3万円以上:229円 | 非対応 | 2週間程度 |
フリーランスの事業用口座開設おすすめ信用金庫比較5選
フリーランスの方におすすめなのが即日で口座開設ができるネット銀行に加えて、近くの信用金庫で口座を開設することです。
店舗にいけば本人確認書類+印鑑でほとんど信用金庫は開設でき、創業初期の日本政策金融公庫からの融資の次を考えるのにおすすめです。ただしネットバンキングは1,100円/月程度の費用がかかる点はデメリットです。
城南信用金庫
城南信用金庫は品川区に本店を置く信用金庫で、京都信用金庫に次いで預金量・貸出金量が多く、関東圏の信用金庫では1位となっています。支店数も多く東京都全域・川崎市・横浜市・大和市・茅ヶ崎市・藤沢市・伊勢原市など、多くのエリアに対応ています。
ネットバンキング | 振込手数料 | Pay-easy | 開設スピード |
1,100円/月 | 330円〜 | 対応 | お問い合せ |
城北信用金庫
城北信用金庫は東京都北区、荒川区を中心とした都内城北地区および埼玉県南東部等に支店を持つ信用金庫です。城北エリア・埼玉南東部で事業を行っている方におすすめの信用金庫です。
振込手数料は信用金庫の中では安い金額設定になっており、ペイジーにも対応しています。
ネットバンキング | 振込手数料 | Pay-easy | 開設スピード |
1,100円/月 | 330円〜 | 対応 | お問い合せ |
横浜信用金庫
横浜信用金庫は横浜市中区に本店を置いている信用金庫で、設立100年を超えている実績のある銀行です。横浜市は全国でもトップの人口規模のため、神奈川県で事業を行っている場合におすすめです。
ネットバンキング | 振込手数料 | Pay-easy | 開設スピード |
1,650円/月 | 220円〜 | 対応 | お問い合せ |
千葉信用金庫
千葉信用金庫は千葉市・成田市・木更津市を中心に千葉県内の15市1郡に支店を持っている信用金庫です。49店舗を展開しているため千葉県内で事業を行っている方におすすめです。
ネットバンキング | 振込手数料 | Pay-easy | 開設スピード |
1,100円/月 | 330円〜 | 対応 | お問い合せ |
埼玉縣信用金庫
埼玉縣信用金庫は熊谷市に本店を置いている埼玉県に密着型の信用金庫です。さいたま市にも大宮区・浦和区・岩槻区・中央区など多くの支店があり、上尾市や秩父市・東松山市など幅広いエリアをカバーしています。
ネットバンキング | 振込手数料 | Pay-easy | 開設スピード |
2,200円/月 | 330円〜 | 対応 | お問い合せ |
フリーランスが事業用口座開設で銀行を選ぶ際の4つのポイント
次はフリーランスの方が事業用口座開設を行う際の選び方について紹介します。ポイントとしては下記の4つです。
- 屋号付きで口座開設が可能か
- 借入・追加融資の可能性を考慮する
- 振込手数料は安く抑えられるか
- 会計ソフトやビジネスカードと連携しているか
(1)屋号付きで口座開設が可能か
フリーランスの方が事業用口座開設を行う際の1つ目のポイントは、屋号付きの口座開設ができるかです。ゆうちょ銀行をのぞき、ほとんどの銀行では屋号+氏名で開設となります。ただし中には不正防止の観点で登記済みの法人のみ、屋号が付けれる場合もあります。
上記で紹介したように屋号付きの事業用口座の方が、顧客や取引先からも信頼されるため、屋号が付けられるかは大きなポイントとなります。
後ほど必要書類の章でも紹介しますが、屋号付きの口座開設を行う場合は開業届・確定申告書を求められるケースが多いです。開業届は事業開始から1ヶ月以内に提出するのが目安ですが、とくに罰則もないため融資が決定したタイミングなどで発行しましょう。
(2)借入・追加融資の可能性を考慮する
フリーランスの方が事業用口座開設を行う際の2つ目のポイントは、追加融資の可能性を考慮することです。冒頭でも触れましたが、多くのフリーランスの場合は創業融資は日本政策金融公庫からの借入でしょう。
ただし事業をさらに発展させるために追加融資が必要なケースもあります。一般的には1/2・最低でも1/3は返済が進んでいる必要があります。しかし7年返済など長期で融資を組んでいると、3年ほどは追加融資を受けれないということでもあります。
そのため個人的なおすすめとしては即日で口座開設が可能なネット銀行+近くの信用金庫で口座開設をするのがおすすめです。この時に公庫からの着金を信用金庫の口座に入れてしまうと、残高があるのになぜ必要なのか?となるためネット銀行に着金させましょう。
信用金庫の場合は銀行窓口で事業用口座を開設することになるため、その際に融資担当者の名刺をもらっておくことで、中長期的な関係性をつくっておくのがおすすめです。
(3)振込手数料は安く抑えられるか
フリーランスの方が事業用口座開設を行う際の3つ目のポイントは、手数料が安いかという点です。他行宛だけでなく、同行宛の振込に対しても手数料が発生する銀行もあります。
また事業用口座のインターネットバンキングは月額料金が1,000円〜3,000円ほど発生することが多いですが、ネット銀行であればこの費用は無料で利用ができます。
(4)会計ソフトやビジネスカードと連携しているか
フリーランスの方が事業用口座開設を行う際の4つ目のポイントは、利用する会計ソフトやビジネスカードです。
利用するツールとの連携も考えて口座開設するのがおすすめです。近年ではMFクラウド確定申告・freee会計といったクラウド会計ソフトを利用するのが一般的です。ほとんどのクラウド会計ソフトはネット銀行や信用金庫・メガバンクとも連携しており問題はないです。
また事業用座開設と合わせて利用するカードを一本化したいという目的で、法人カード・ビジネスカードを作る場合もあるでしょう。
筆者はマネーフォワードを利用していますがマネーフォワードビジネスカードの場合は、GMOあおぞらネット銀行であればチャージが即時反映されるというメリットがあります。ビジネスカードは会計ソフトとリアルタイムで反映されるため、月末支払いでも安心です。
そのため筆者の場合はマネーフォワードビジネスカードとの連携を考えて、GMOあおぞらネット銀行での口座開設を行っています。マネーフォワードビジネスカードは審査不要でカード発行ができ、デビット決済・後払いも可能なので個人的にはおすすめです。
またマネーフォワードの場合はアカウント1つでクラウド契約・経費精算・勤怠管理・請求書/見積書・給与計算ソフトが無料で使えるため、バックオフィス業務を1つにまとめるならマネーフォワードアカウントがおすすめです。
ちなみにfreeeを利用しなかった理由は会計知識がない状態で、利用すると仕分けがめちゃくちゃになり税理士に相談する際に、大きな金額になる可能性があったからです。
freee会計のメリットは会計知識がない方でも直感的に操作できる点ですが、簿記・会計知識が全くない人が利用すると税理士目線では仕上がりが全く異なる結果になり、修正するのが大変になる事例が多いと聞くためです。
フリーランスが事業用口座開設をする際の3つの注意点
フリーランスが事業用口座を開設する際の注意点は下記の3つです。
- ネット銀行では口座開設に審査が発生する場合がある
- 審査がありすぐに口座開設できないケースがある
- 信用金庫では創業初期の事業者を断っていることがある
(1)ネット銀行では口座開設に審査が発生する場合がある
フリーランスが事業用口座を開設する際の1つ目の注意点は、審査が発生する場合がある点です。個人用口座でも同様ですが、事業用口座でも審査が発生することがあります。
実際に筆者もGMOあおぞらネット銀行で口座開設申請を行いましたが、必要書類の不備で一度審査落ちとなりました。理由としては創業初期だったので、開業届だけでなく青色申告承認者申請書を提出していなかったのが理由です。
また事業用口座となると事業運営の実態があるかを証明する必要があるケースもあり、会社ホームページに屋号と事業実態が確認できるようにしておくことが大事です。
事業実態の審査を丁寧に実施しないネット銀行もありますが、一部のネット銀行では審査が発生することがある点は、頭に入れておきましょう。
(2)審査がありすぐに口座開設できないケースがある
フリーランスが事業用口座を開設する際の2つ目の注意点は、審査によっては3〜5営業日・長いと1週間以上かかることもある点です。
ただし上述で紹介したようにネット銀行や信用金庫の場合であれば、基本的には最短即日・長くとも2〜3日で口座開設ができます。ゆうちょ銀行の場合は審査に時間がかかると聞くこともあるので、どうしてもゆうちょ銀行を利用したい場合は、電話で確認しておきましょう。
(3)信用金庫では創業初期の事業者を断っていることがある
フリーランスが事業用口座を開設する際の3つ目の注意点は、信用金庫では創業初期のフリーランスの事業用口座開設を断っている場合がある点です。
筆者も実際に信用金庫に3社ほど連絡をしましたが、1つだけ創業初期のフリーランスは断っていると言われました。具体的には確定申告書が2期分・法人の場合は決算書が3期分以上必要で、ある程度の規模の事業者しか口座開設を行なっていないとの回答でした。
地域密着型が強みなのが信用金庫なので、こうしたケースは少ないと思いますが、事前に事業用口座開設の要件について電話しておくのがおすすめです。