期日現金とは？特徴を解説
期日現金とは、取引において事前に定められた期日までに支払いが行われる決済方法です。 通常の支払いは現金または銀行振込で行われます。
約束手形や電子記録入金（でんさい）などの形式と期日現金は、主に中小企業中間取引や信用取引で用いられることが多い決済方法です。
この方式は売掛金の支払い期日を明確にしつつも、現金または振込によるシンプルな決済方法なのが特徴です。
期日現金は支払いサイトが長い
期日現金は通常の即時現金取引とは異なり、支払いまでの期間（支払いサイト）が長めに設定されることが一般的です。
支払いサイトが30日や60日といった期間で設定される場合が多く、この仕組みは取引段階での資金準備期間を考慮して、売り手側の資金繰りに悪い影響を与える可能性があります。
手形決済よりも支払い優先度が低い
期日現金は手形決済と比較して支払い優先度が低いとされます。 これは手形には不渡りが発生した場合の法的措置や、信用情報への影響があるためです。
法的な拘束力が弱いため、期日に支払ができないリスクも考慮する必要があります。そのため売り手側は、取引先の信用力を慎重に判断することが重要です。
振込や手形決済・でんさいとの違いを比較
期日現金と振込の違い
期日現金と振込はどちらも取引先への支払いに利用される方法ですが、その仕組みや運用の特徴に違いがあります。
期日現金は取引先が指定した期日に現金で支払いを行う形式です。 この方法では、基本的に請求書に基づいて直接現金の受け渡しが行われるため、手数料が発生しないというメリットがあります。
ただし支払うために現金を用意する必要があるため、事務作業や管理の手間が増える可能性があります。また現金を扱うリスクや、遠方の取引先では手渡しが難しいような対処もあります。
インターネットバンキングやATMを利用することで、即時支払が可能なのでスピードにも違いがあります。
期日現金と手形決済の違い
期日現金と手形決済には、支払い方法や運用の手軽さ明確な違いがあります。期日現金は、請求書に基づいて期日後に現金で支払いを行うシンプルな決済方法です。
一方で手形決済は期日後に支払いを約束する手形という有価証券を利用します。 手形は譲渡可能であり、期日前に割引と呼ばれる方法で現金化することも可能です。
利用の手軽さについては期日現金が優れています。期日現金は請求書さえあれば利用できるため、特別な手続きや発行コストは必要ありません。さらに発行する側と受け取る側の手形に関する知識が求められます。
期日現金の場合は支払いが履行されるかは信用する依存のため、取引相手の信用力が重要です。 決済手形決済は支払期日までの保証があるように見えますが、支払不能のリスクがあります。
これが1度でも発生すると、銀行取引停止になる厳しい規則があります。
期日現金とでんさいの違い
期日現金とでんさいには、運用の柔軟性や利用の手軽さにおいて大きな違いがあります。 まず期日現金は請求書を基に後払いで決済する方法で、権利の譲渡や期日前の現金化します。
一方でんさいは電子記録債権で期日前に資金を換金したり、分割譲渡が可能です。この違いによりでんさいは資金自由度が高く、事業運営における資金調達に戦略と言えます。
利用の手軽さについても違いがあり、期日現金は請求書を発行するだけで利用可能なため特別な準備が不要です。
支払側と受取側の両方が利用している必要があります。このため、でんさいは導入時のスピードが高い方、電子的な管理による効率性の向上が期待できます。
また期日現金では特別な手数料が発生しないのに対し、でんさいは登録や譲渡・決済のたびに手数料がかかります。そのためでんさいの利用には追加の運用コストが必要となります。
期日現金のメリット
支払い側は支払いサイトが長期資金繰り改善が可能
期日現金の最大のメリットは、支払い側負担支払いサイトを長く設定できるのがポイントです。これにより、提供された商品やサービスの代金支払いまでの猶予期間ができ、資金に資金を運用したり他の経費支払いが可能です。
この柔軟性は特に流動資金の確保が重要な中小企業にとっては非常にメリットです。長期的なキャッシュフローの改善につながり、資金繰りの安定が期待できます。
支払う側は手形よりもコスト削減になる
手形決済には発行手数料や印紙税といった追加コストが発生しますが、期日現金ではこれらの費用がかかりません。
そのため手形を頻繁に利用する企業にとって、期日現金を採用することで大幅なコスト削減につながります。また手形管理の手間もなくなるため、事務作業を効率化し人件費の削減にも最適です。
受取側は手形管理の手間がなくなる
受取側にとってのメリットは、手形のような複雑な業務が不要になることです。 手形には保管義務や満期時の銀行手続きが必要で、事故リスクや不渡りリスクもあります。
期日現金のデメリット
支払側は件数が少ないと工数削減にならない
期日現金は手形に比べて事務負担が軽減される決済方法ですが、支払額が少ない場合は工数削減の効果があまり感じられないことがあります。
例えば取引数が少なく個別に請求書を処理するため、期日現金の導入効果を十分に得るには、ある程度の取引先数や継続的な利用が前提となります。
受取側は期日前に現金化はできない
期日現金は約束した支払い期日が来るまで現金化することができません。受け取り側にとっては支払いを待つ期間中に資金繰りが深刻になるリスクがあります。
現金化できる仕組みがないため、緊急な資金需要が発生した際には対応が必要になります。 特に資金繰りに余裕がない事業者にとっては、現金化が早期にできない点はデメリットです。
期日現金受領かどうかの判断ポイント
運転資金が手元にあるか
期日現金は支払う期日まで現金を受け取ることができないため、受注を受ける際には手元の運転資金に余裕があるかどうかを確認することが重要です。
例えば仕入れや人件費などの事前費用が必要な場合には、資金が不足する可能性を考慮して判断する必要があります。
受注とのメリットを比較する
期日現金の条件を受け入れることで得られるメリットと、支払いを待つことで発生するメリット・受け入れを比較することが大切です。
例え、長期的な信頼関係を構築したい取引先からの注文であれば、条件を受け入れることで得られる将来的な利益が一時的にある場合もあります。
支払いサイトを交渉して短縮できるか
期日現金の支払いサイトが長すぎる場合は、取引先と交渉して期間を短縮できないか確認しましょう。
取引先が柔軟に対応できる場合は、支払期日を早めることで資金の負担を軽減できます。特に信頼関係がある取引先とは交渉が成立する可能性が高いため、一度相談してみる価値があります。
下請代金支払い遅延等防止法に対抗する場合は断る
取引条件が「下請代金支払遅延等防止法」に対抗する場合は、その条件を受け入れるべきではありません。この法律は、中小企業が不当な取引条件を強くされないように保護するためのものです。
支払いサイトが非常に長い・その他不当な条件が提案されている場合は、法律に基づいて対応し、必要に応じて専門家にご相談しましょう。
期日現金をファクタリングする特典
収益・借入を増やさず資金調達できる
期日現金をファクタリングする最大のメリットは、負債や借入を増やさずに資金調達が可能な点です。ビジネスローンや融資の場合は、負債を増やすことになります。
しかしファクタリングは売掛金を現金化する仕組みのため、貸借対照表における負債項目に影響を与えません。
そのため支払いサイトが長く、運転資金の確保が必要な場合は、万が一の選択肢として検討するのも良いでしょう。
決算レポート見栄えがよく評価が高くなる
ファクタリングを利用すると、売掛金が現金化されるため、決算書においては流動資産が増加します。
これにより自己資本比率や純資産利益率（ROA）が改善し、銀行や投資家からの評価が向上します。特に資金繰りの健全性をアピールしたい場合に、有効な手段といえるでしょう。
売掛金の未回収リスクを軽減できる
ファクタリング契約では、売掛金の未回収リスクをファクタリング会社が負担します。そのため、取引先が支払い遅延や破産するリスクを考慮する必要がなく、安心して資金調達が可能です。
ファクタリングの場合は償還請求権なし（ノンリコース）契約のため、売掛先が倒産したとしても返済する必要はありません。
審査スピードが早く最短即日入金できる
またファクタリングは最短1〜2時間で現金化できるため、即日で資金調達が可能です。融資等の場合は最低でも2週間以上はかかり、資金確保までに時間がかかってしまいます。
しかしファクタリングは審査スピードが早く、あくまで売掛先の信用力をみるため、自社の決算書状況にあまり左右されません。
突発的な支払いの場合にはファクタリングが向いています。
2社間なら売掛先に通知しなくてもよい
2社間ファクタリングでは、取引先（売掛先）に通知せずに契約が可能です。そのため、取引先との関係を気にせず利用でき、スムーズな資金調達が可能です。
3社間ファクタリングは売掛先に通知を行う代わりに、手数料が安い特徴がありますが、2社間であればスピードが早いのがメリットです。
期日現金をファクタリングするデメリット
手形よりも手数料が高い
期日現金をファクタリングする場合、手形決済よりも高い手数料が発生するのが一般的です。
手形は手数料や管理費が低めに設定されていますが、ファクタリングではリスクに応じて手数料が設定されるそのため、取引条件によっては高額になる可能性があります。
ファクタリング手数料は2社間で5〜20%・3社間で2〜10%前後と言われています。
一時的な資金繰り対策のみ
ファクタリングは一時的な資金繰り改善には効果がありますが、根本的な経営改善にはつながりません。長期視点で見た場合、安定した収益や資金計画が必要となります。
支払い期日に必要資金が足りない場合の、緊急措置と考えたほうが良いでしょう。何度もファクタリングを利用してしまっては、自転車操業になってしまいます。
3社間では経営状態が悪いと思われる可能性がある
3社間ファクタリングでは、売掛先に通知が必要となります。取引途中で「資金繰りが厳しいのではないか」と疑念を抱かれる可能性があります。
ファクタリングに対する世間の印象は、まだまだマイナスイメージが多いです。ただし売掛債権の売却は経済産業省も推奨しているため、手形に変わり今後は普及していくことが予想されています。
売掛金以上の資金調達はできない
ファクタリングはあくまでも売掛債権の売買契約であるため、調達できる資金は売掛金の金額が上限です。そのため、事業拡大のための大規模な資金調達や、突発的な高額な支払いには対応できない場合があります。
そのため保有している売掛債権よりも大きな金額を調達したい方には、不向きな資金調達方法といえます。
悪徳業者・ヤミ金業者が存在する
ファクタリング業界には違法行為を行う悪徳業者やヤミ金業者が存在する場合があります。これらの業者は法外な手数料を請求したり、償還請求権のある契約を結ぶなどのトラブルを考える可能性があります。
そのため信頼できる口コミ情報などをみて、ファクタリング会社を選ぶことが重要です。また契約内容を慎重に確認し、怪しい契約内容だと思ったら、利用しないのがおすすめです。
