3社間ファクタリングの特徴・基礎知識
3社間ファクタリングは、売掛金の取引においてファクタリング業者が間に入り、売掛先に通知を行う形態です。
2社間ファクタリングと比較して異なる特徴やメリット、注意点があります。まずは3社間ファクタリングの特徴について詳しく解説します。
3社間ファクタリングは売掛先に債権譲渡通知を行う
3社間ファクタリングの最大の特徴は、売掛金の譲渡をファクタリング業者が売掛先に通知する点です。
売掛先(取引先企業)に対して、売掛金がファクタリング業者に譲渡されたことを正式に知らせます。この通知により売掛先は、ファクタリング業者に支払いを行うことになります。
通知が行われることにより、売掛先の信用リスクが軽減し、ファクタリング業者は売掛金の回収を確実に行えると判断します。
そのため2社間ファクタリングよりも手数料が安くなる傾向があります。
また3社間ファクタリングは、売掛先の了承を得る必要があるため、契約前に通知を行うことを了承してもらうことが必要です。
手数料は2社間と比較して安い傾向
3社間ファクタリングは売掛先に通知を行うことでリスクが低減するため、手数料が2社間ファクタリングよりも安くなる傾向があります。
2社間ファクタリングでは売掛先に通知をせず、売掛金の回収が事業主の責任となるため、ファクタリング業者のリスクが高くなります。
これに対して3社間ファクタリングは、売掛先に通知を行うことで業者のリスクを低減し、その分手数料が安くなるのです。
また売掛先が信頼できる企業であれば、ファクタリング業者はさらにリスクが低いと見なして、手数料をさらに引き下げる場合もあります。
手数料が安くなることは、資金調達にかかるコストを削減するため、特にコストを重視する企業にとっては大きなメリットです。
3社間ファクタリングは入金までに最低3〜5営業日かかる
3社間ファクタリングでは売掛先に通知を行った後、売掛先からの支払いがファクタリング業者に届くのを待つ必要があるため、入金までに通常3〜5営業日かかることがあります。
売掛先が支払期日に基づいて支払いを行った後、ファクタリング業者が入金処理を行います。
一方で2社間ファクタリングでは売掛先に通知する必要がないため、比較的早く入金されることが多いです。
したがって即日入金を希望する場合は、2社間ファクタリングの方が適しているかもしれません。
ただし3社間ファクタリングでも、業者や取引先によっては迅速に対応することが可能な場合もあるため、具体的な入金スピードを確認しておくことが重要です。
3社間ファクタリングの選び方・ポイント
3社間ファクタリングを利用する際には、信頼性が高く条件が透明な業者を選ぶことが重要です。
次の紹介するポイントを参考にして、最適な業者を選ぶための判断基準を把握しましょう。
運営元の資本金が潤沢で安定した企業であるか
ファクタリング業者を選ぶ際に、運営元の資本金が潤沢で安定した企業であるかどうかを確認することは非常に重要です。
資本金が潤沢であるということは、業者が十分な資金力を持っており、ファクタリングサービスを安定的に提供できることを意味します。
また安定した企業であれば業績や信用に問題がなく、長期的に安心して取引を行うことができます。
企業の信頼性をチェックするためには、公式サイトで企業情報や運営状況を確認したり、過去の実績を調べたりすることが有効です。
また上場企業や大手銀行グループが運営しているファクタリング業者は、信頼性が高く安心して利用できるケースが多いです。
手数料の上限・下限を公式サイトに公開しているか
ファクタリング業者を選ぶ際には、手数料が明確に示されていることを確認することが重要です。
優良なファクタリング業者は、公式サイトで手数料の上限と下限を公開しており、顧客が事前にコストを把握できるようにしています。
手数料が公開されていない業者は、後から高額な手数料を請求されるリスクがあるため注意が必要です。
契約前に手数料をしっかりと確認し、見積もりをもらった段階で納得できる内容であるかを確認するようにしましょう。
手数料を安くしたいなら銀行系ファクタリングもおすすめ
手数料を安く抑えたい場合、銀行系のファクタリング業者を検討することもおすすめです。
銀行系のファクタリング業者は信頼性が高く、金融業界での実績が豊富であるため、安定したサービスを提供しています。
また銀行系業者は通常、比較的低い手数料でファクタリングサービスを提供することができるため、コストを抑えたい企業にとって魅力的な選択肢です。
銀行系ファクタリング業者は、大手銀行グループに所属していることが多いため、資金力や運営の安定性も非常に高いです。
低い手数料でサービスを提供することができるのは、銀行が融資のような形態ではなく、売掛金の譲渡に特化しているためです。
口コミに怪しい情報がないか
ファクタリング業者を選ぶ際には、口コミや評判をチェックすることが重要です。インターネット上での口コミを調べることで、実際に利用した企業の感想やトラブルの有無を確認することができます。
特に注意すべきは、口コミに怪しい情報や不正行為に関する記載がないかをチェックすることです。「手数料が予想以上に高かった」「契約後に追加費用が請求された」などのネガティブな情報が多く寄せられている業者は、避けた方が賢明です。また、過去にトラブルがあった場合、その後の対応や顧客サポート体制が適切かどうかも確認しておくと良いでしょう。
3社間ファクタリングのメリット
3社間ファクタリングは、企業の資金繰りを支援する有効な手段であり、さまざまなメリットがあります。
次は3社間ファクタリングを利用するメリットを詳しく解説します。
手数料が1〜9%程度と安い
3社間ファクタリングは売掛先に通知を行い、回収をファクタリング業者が担当するため、リスクが低く結果として手数料が安く設定される傾向にあります。
手数料は1%〜9%程度が一般的で、2社間ファクタリングと比べてかなり安いです。
2社間ファクタリングでは売掛先に通知しないため、回収が事業主に委ねられ、ファクタリング業者は高いリスクを負うことになります。
それに対して3社間ファクタリングでは、業者が回収を行い売掛先にも通知するため、リスクが軽減され手数料を抑えることができるのです。
手数料が安いことは、資金調達にかかるコストを削減できるため、企業にとって非常に大きなメリットです。
買取金額が300万円以上など高額に対応
3社間ファクタリングは、一般的に高額な売掛金にも対応できることが多いです。
例えば300万円以上の売掛金を対象とする場合、ファクタリング業者がリスクを取ることで、より高額な売掛金を現金化することが可能になります。
特に大企業や長期的な取引関係がある取引先からの売掛金に対しては、3社間ファクタリングが利用されることが一般的です。
高額な売掛金をファクタリングで現金化できるため、資金繰りが非常に安定し、大きな資金調達が必要な企業にとっては大きなメリットとなります。
大手・上場企業が運営しており安心できる
3社間ファクタリングを提供している業者の中には、大手や上場企業が運営する業者も多く、信頼性が高いという特徴があります。
上場企業や大手のファクタリング業者は、厳格な審査基準や安定した資金調達を提供しており、安心して利用することができます。
上場企業が運営している場合は金融業界での実績があり、法的にも整備されているため、事業主としても信頼して契約することができます。
このような企業を選ぶことで、安心して資金調達を行えることが大きなメリットです。
売掛金の回収はファクタリング会社が実施する
3社間ファクタリングでは売掛先に通知を行い、売掛金の回収をファクタリング業者が行います。
これにより事業主は売掛金の回収業務から解放され、リソースを本業に集中することができます。
特に売掛金の回収に時間がかかる場合や回収が難しい場合でも、ファクタリング業者が代わりに回収を行ってくれるため、現金化までの時間が短縮され、業務の効率化が図れます。
これにより経営資源を有効に活用し、事業の成長に集中することができます。
3社間ファクタリングのデメリット
3社間ファクタリングには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。
これらのデメリットを理解しておくことが重要です。次は3社間ファクタリングの主なデメリットを解説します。
即日入金はできず1週間程度の時間がかかる
3社間ファクタリングは売掛先に通知を行い、支払いを回収する過程があるため、即日入金は基本的にできません。
入金までに3〜5営業日かかることが多いですが、売掛先が支払いを行うまでにはさらに時間がかかることもあります。
このため即日で資金調達をしたい場合には、3社間ファクタリングでは対応できないことがあります。
特に急な資金調達が必要な場合は即日入金を希望する企業には不便な点があるため、即日入金が求められる場面では、2社間ファクタリングや別の方法を検討することが重要です。
売掛先にファクタリング利用が知られてしまう
3社間ファクタリングでは、売掛先にファクタリング業者に対して売掛金の譲渡通知を行うため、売掛先にはファクタリングの利用が知られてしまいます。
これにより売掛先の企業との関係に、影響を及ぼす可能性があります。
特にファクタリングに対する印象が悪い場合、売掛先が経営状態が悪いのでは?といった疑念を持つ可能性があります。
そのため事前に売掛先との信頼関係をしっかり築き、ファクタリングの利用に関して売掛先と協議を行うことが必要です。
ファクタリングの印象が悪いと取引に影響する可能性がある
ファクタリングは特に小規模な企業や一部の業界では、信用に関わる印象を持たれることがあります。
売掛先がファクタリングに対して否定的な印象を持っている場合、取引条件が厳しくなったり、取引先が減少したりする可能性があります。
売掛先がファクタリングを利用することに対して警戒心を抱いている場合、その結果として取引に支障をきたすことがあるため、ファクタリングを利用する前に売掛先との関係を慎重に考慮する必要があります。
特に取引先が大企業や信頼性を重視する場合、ファクタリングが原因でビジネスに悪影響を及ぼさないようにすることが求められます。
3社間ファクタリングの利用がおすすめの会社
3社間ファクタリングは、特定の状況や条件下で非常に有効な資金調達手段となります。以下のような企業には、3社間ファクタリングの利用が特におすすめです。
できるだけ手数料を安く抑えたい
3社間ファクタリングは売掛先に通知を行い、支払い遅延や倒産リスクが低くなるため、手数料が2社間ファクタリングに比べて安く設定されています。
手数料が1〜9%程度に抑えられるため、できるだけ手数料を低く抑えたい企業にとって非常に有利な選択肢です。
高い手数料がコストとして重くなる中小企業や、コスト削減を重視する企業にとって、3社間ファクタリングは最適な方法となります。
売掛金が100万円以上など高額の場合
3社間ファクタリングは、高額の売掛金に対応しやすいという特徴があります。
売掛金が100万円以上の場合、ファクタリング業者がリスクを分散し信用力を確認するため、3社間ファクタリングを利用することで、資金調達がスムーズになります。
特に取引先が大企業や信頼性の高い企業の場合、ファクタリング業者はリスクを低く見積もり、スムーズに手続きを進めることが可能です。
高額な売掛金をファクタリングする場合、3社間ファクタリングを選ぶことで、安定した資金調達が可能になります。
売掛先にファクタリング利用を話すことができる
3社間ファクタリングでは、売掛先にファクタリングの利用を通知するため、売掛先にファクタリングのことを事前に伝えることができる企業に向いています。
売掛先がファクタリングに理解を示し、取引に支障が出ないように調整できる場合、この方法を選ぶと良いでしょう。
逆に売掛先にファクタリングを知られることを避けたい企業や、売掛先に通知することに抵抗がある場合は、2社間ファクタリングを選ぶことが適しています。
資金調達までに時間の余裕がある
3社間ファクタリングは売掛先に通知を行うため、入金までに数日から1週間程度かかることが一般的です。そのため即日入金を希望する場合には向いていません。
しかし資金調達に時間的な余裕がある場合、3社間ファクタリングを利用することで、手数料を抑えつつ安定した資金調達が可能となります。
例えば月末に資金が必要な場合や、次の支払い期日までに時間がある場合には、3社間ファクタリングを選ぶことで余裕を持って資金を調達することができます。
悪徳業者との取引を避けたい
3社間ファクタリングは金額が大きくなることが多いため、上場企業や大手企業がサービス提供していることが多いです。
そのため3社間ファクタリングは、規模が大きく信頼性のある業者が提供しており、悪徳業者と取引するリスクを低く抑えることができます。
企業として信用できる業者を選ぶことで、取引におけるリスクを最小限に抑えることができます。
3社間ファクタリング利用時の注意点
3社間ファクタリングを利用する際には、いくつかの注意点があります。これらを理解しておくことで、後でトラブルを避け、スムーズに資金調達を進めることができます。
原則はオンラインではなく対面ファクタリングになる
3社間ファクタリングでは、ファクタリング業者が売掛先に対して通知を行い、その承諾を得る必要があります。
このプロセスはオンラインで完結することはなく、対面での手続きが必要となる場合が多いです。
特に売掛先の理解や承諾が得られないと、ファクタリングが利用できないため、対面でのコミュニケーションが重要です。
また契約内容についても、ファクタリング業者と直接面談することで、より詳しく説明を受けることができます。
オンラインで完結できる場合もありますが、対面が求められることが多いため、その点を事前に確認しておくと良いでしょう。
売掛先が承諾しなければ利用できない
3社間ファクタリングを利用する際には、売掛先(取引先企業)からの承諾が不可欠です。
売掛金の譲渡を行うためには、売掛先がその通知を受け入れる必要があります。もし売掛先が承諾しなければ、3社間ファクタリングを利用することはできません。
売掛先がファクタリングの利用に反対する理由として、信用面の懸念や、支払いの先送りを避けるための理由が考えられます。
そのため事前に売掛先と信頼関係を築き、ファクタリングに対する理解を得ておくことが大切です。
手数料は審査後にしかわからない
3社間ファクタリングの手数料は、審査後に決定されることが一般的です。
申し込み時にはおおよその手数料が提示されることがありますが、正確な金額は、売掛金の信用度や取引先の状況を踏まえた審査結果によって決まります。
そのため、ファクタリングを利用する前に手数料を正確に把握することは難しい場合があります。
契約前に見積もりを依頼し、手数料の相場や予想される費用について確認しておくことが重要です。
審査後に手数料が決まることを理解した上で、契約を進めるようにしましょう。
銀行系ファクタリングは手数料が安いが時間がかかる
銀行系ファクタリングは、一般的に手数料が安いという特徴があります。
銀行が運営するファクタリングサービスは、信頼性が高く、安定した取引が期待できますが、一方で手続きに時間がかかることがあります。
銀行系ファクタリングでは審査が厳格であり、通常のファクタリング業者よりも時間を要することが多いです。
急いで資金調達が必要な場合には、銀行系ファクタリングを選ぶと時間がかかるため、即日入金を希望する場合には他の業者を選択する方が適している場合もあります。
しかし手数料の安さや信頼性を重視する企業にとっては、銀行系ファクタリングは最適な選択肢となります。
3社間ファクタリング利用の流れ
3社間ファクタリングを利用する際の流れは、以下のステップで進行します。各ステップをしっかり理解しておくことで、スムーズに手続きを進め、迅速に資金調達を行うことができます。
必要書類の準備(請求書・通帳コピー・身分証・登記簿謄本・決算書)
3社間ファクタリングを利用する際には、いくつかの書類を準備する必要があります。通常は以下の書類が必要となります。
請求書
ファクタリングを利用する売掛金に関する請求書。
通帳コピー
売掛金の振込先となる銀行口座の通帳コピー。
身分証
事業主の身分を証明するための身分証明書(運転免許証やパスポートなど)。
登記簿謄本
法人である場合、会社の登記簿謄本が求められることがあります。
決算書
事業主や法人の決算書類(特に直近のもの)を提供することがあります。
これらの書類を事前に準備しファクタリング業者に提出することで、審査が開始されます。
ファクタリング申込み・見積もり依頼
書類を準備した後はファクタリング業者に申し込みを行います。
申し込み時にはファクタリングを希望する売掛金や取引先についての情報を提供し、見積もりを依頼します。
この段階で必要な資金調達額・取引先に関する詳細情報を伝えることが重要です。
見積もりを依頼するとファクタリング業者は手数料や入金スピード・その他条件について説明を行い、予想される費用や返金額が提示されます。
事前にこの見積もり内容をしっかり確認することが大切です。
売掛金・売掛先の信用情報調査
ファクタリング業者は、提供された売掛金と売掛先の信用情報を調査します。
この調査では売掛金が適切なものであり、売掛先が支払いを行えるかどうかを評価します。
信用情報の調査には売掛先の企業信用調査を行い、過去の支払い履歴や財務状況を確認します。
信頼性の高い取引先であれば業者はリスクが低いと判断し、手数料が安くなることがあります。
逆に信用リスクが高い場合、手数料が高くなる可能性があります。特に売掛先が個人事業主や経営状態が悪い中小企業だと、手数料が高くなります。
債権譲渡通知・売掛先から承諾を得る
3社間ファクタリングでは、ファクタリング業者が売掛先に対して債権譲渡通知を行います。
これは売掛金が業者に譲渡されたことを売掛先に伝え、今後の支払いを業者に行うように通知する手続きです。
売掛先がこの通知を受け入れ承諾することが必要です。売掛先が承諾しない場合、3社間ファクタリングを利用することができません。
売掛先との良好な関係が重要なため、事前に売掛先と相談しておくことが望ましいです。
契約締結
売掛先から承諾を得た後にファクタリング契約が正式に締結されます。
契約書には手数料・支払い条件・ファクタリング業者の役割・売掛金の譲渡に関する詳細が記載されます。
契約書は法的な効力を持つため内容を十分に確認し、理解した上で署名することが重要です。
契約締結後にファクタリング業者は売掛金の代金を支払い、売掛金の回収を開始します。
資金の入金・ファクタリングが売掛金の回収
契約が締結されると、ファクタリング業者は事業主の指定した銀行口座に売掛金の代金を入金します。この段階で資金調達が完了します。
ファクタリング業者はその後、売掛先からの支払いを受け取り、売掛金の回収を行います。
売掛先からの支払いが確認でき次第、業者は代金を受け取ることができ、取引が完了します。
回収が完了することで、事業主は必要な資金を確実に手に入れることができます。